農家のことわざ
(富民協会 村のことわざ辞典 星 勝美)より
農家のことわざ
●主人の目と足は、畑のよき肥料
主人が常に農場を見回って作物の状態をよくみて、適切な処置をとることが一番よく効くということ。
●一種(タネ) 二肥(ゴエ) 三手入れ
作物を栽培するときの基本。第一に種をよく吟味すること。種がよくなければ、他の条件をいかに努力しても効果は上がらない。第二は肥料やりを上手にすること。その時期、方法を合理的にやること。第三に朝夕の手入れを怠らずにすること。
●上農は草を見ずして草を刈り 中農は草を見て草を刈り 下農は草を見て草を刈らず
農家には仕事を追いかけてやる農家、仕事に追いかけられてやる農家、しょうことなしにやる農家の三段階があるということ。
●田の草は畑に入れよ 畑の草は田に入れよ
雑草を絶やすには、その生活環境を断ち切ることが効果的である。
●青田と子供は褒められぬ
稲作は青田の時にいくら青々としていて、一見上出来のように見えても収穫するまで分からない。茎葉の緑色が濃すぎるのは、窒素分が多すぎる為で稲の健康にとってはむしろ危険信号といえる。また人間も小さいときには賢そうでも、大人になってみなければ、ほんとのことは分からない。
●米は実が入れば俯く 人間は実が入れば仰向く
稲穂は実れば実るほど垂れてくるが、人間は少しばかり成功するとそっくり返って威張りたがる。
●舅の門と麦畑は、踏むほどよい
麦踏みは、念入りに何度も踏むほうがよい。また嫁や婿は、しゅうとのもとを時折訪れるがよい。
●親の意見とナスビの花は、千に一つの無駄もない
ナスの花は、両全花で自家受精が容易だから、無駄花がなく全部結実する。
●トマトに柄杓を見せると枯れる
トマトは酸性土壌に弱く、窒素肥料が多すぎると茎葉が繁りすぎて結実しにくく、尻腐れ病にかかりやすい。
●古くてよいのは、カボチャととりあげ
カボチャは開花してから日数の十分経過したものが良い。とりあげ婆さんもよく経験を積んだ人が良い。
●スイカは土で作れ カボチャは手で作れ
スイカは神経質な野菜で土質を選び、連作も嫌う。逆にカボチャは野性的な作物で、土質を選ばず連作にも耐える。枝葉が繁茂しがちなので、適当に摘心して、つるを誘引することが大事である。
●ナスは輪作 ゴボウは連作
ナスは毎年畑を替えて、輪作するがよい。これは土壌中に有害微生物が増殖したり、有益細菌類が減少するためといわれる。ゴボウは続けて作る連作がよい。
●土用ゴボウは死にゴボウ
春の土用(4月下旬)にゴボウをまくと、家に死人が出るという俗信。ゴボウはなるべく早くまけということ。
●サトイモは鍬を嫌う
サトイモは高温多湿を好み、乾燥を嫌う作物。中耕や土寄せなどで鍬を使うことが多いと、根が切れて水分の吸収が妨げられ、生育に支障をきたすので注意すること。
●サツマイモのつるを深くさすと、タコ足になる
サツマイモのつるを深くさすと養分の吸収根が多く出て、芋になる貯蔵根の発達が不良となる。貯蔵根の発達を促すには、水平ざし又は船底ざしがよいとされる。
●コンニャクと学者は田舎がよい
何事によらず、都会はまやかしものが多いということ。
●ネギは人影でも嫌う
ネギは日当たりのよい場所でないと、よいものが出来ない。
●タマネギの茎は蹴倒すとよい
タマネギがわが国で栽培され始めた頃に言われたことで、実験の結果、茎を倒さずに自然に倒れるのを待ったほうが収量が多いことが分かった。
●桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿
桜の木は自然に伸びた枝の姿が風情がよく、切り口から腐れ易い。梅は放任しておくと、枝が込み合って花も実もつきにくく、病虫害にもかかりやすいので適当に剪定するがよい。
●梅根性
梅の枝はしつようで折りにくいこと。強情で容易に変えない性質のこと。
●柿根性
青柿が熟柿になることや柿の枝が折れやすいことから、容易に変わることが出来る性質のこと。
●菊根性
花が終わってもいつまでも茎についているさま。未練がましくいつまでも忘れないことのたとえ。
●屋敷にイチジクを植えるな
イチジクは無花果という字をあてていたので、花が咲かないということが家が栄えないことにこじつけて忌み嫌ったもの。イチジクは薬用的価値に富む栄養果実で、大いに栽培したいものである。
●ホオズキと娘は色づくと虫が付く
ホオズキは苦味と酸味のために虫も寄り付かぬが、赤く色づくと虫が付くようになるということ。
●無理咲く花は散りやすい
無理に咲かせようとして咲く花は、散りやすいこと。
●木元 竹うら
木は根元のほうから竹は先端のほうから割ると、よく割れる。物事にはひとつの道理にかなった方法があるというたとえ。
●木六 竹八 塀十郎
木は6月(陰暦)竹は8月に切るのがよく、塀の修理は10月がよいということを、人名になぞらえて言ったもの。
●峰松 谷杉 腹檜
植林は適撞適地に。松は山の尾根に、杉は谷間に、檜は山の中腹に植えるとよい。
●牛はオナラせぬ
牛の消化器官は丈夫でよく発達しているため、繊維質もよく消化してしまう。オナラは食物が消化不十分の際、腸内で繊維質などが醗酵するために生ずる。
●乳は草から
牛乳は草から生産されるということ。よい草を作って存分に給与すれば、牛はそれに見合った牛乳を生産してくれるものである。夏は青草を中心に乾草を適度に与え、冬は埋草を中心に乾草を与えるのがよい。
●財布と馬の腹は鳴るほどよい
財布が鳴るのは金持ちの証拠。馬の腹が鳴るのは、食べ物がよく消化して胃や腸が空になっているためで、体の調子がよい証拠。
●冬暖かければ、夏虫多し
虫が越冬するのに寒気が厳しいと死滅する率が多いが、冬が暖かければそれだけ生存し、春になって虫が多く繁殖する。
●石灰は親を富まし、子を貧にす
石灰は土壌中の不溶性の肥料分や有機物を分解して、有効性栄養分に変化さす効果があるが、過剰に施すと地力の消耗をきたすので、用量に注意せよということ。
●化学肥料で草が生え
無機質の化学肥料に頼っていると、土壌が次第に有機質が欠乏して地力が衰え、旱魃や長雨に対する抵抗力を欠き、作物が生育するための条件が悪化して、強勢な雑草ばかりが勢力をはることになる。
●畑やせたら豆植えよ
マメ科の作物は、根に寄生する根粒菌の働きで空気中の窒素を吸収して、自分の養分に変える。窒素肥料がごくわずかあれば作物は生育する。しかし、窒素以外のリン酸やカリ分は当然必要である。
園芸ベカラーズ
●種のまき時期、苗の植え時を間違うべからず
畑が空いてるから何かタネや苗を植えたい! 天気が良いので土いじりがしたい! が上手くいかない原因です。あなたが植えたい時でなく、相手(植物)に合わせて適期に植えましょう!
また、店で売ってるから今が植え時ではありません! 適期はいつなのか?よく確かめてから‥ また、肥料のやり過ぎにも注意しましょう。切らさぬように少しずつ‥
●春は遅く植えよ 秋は早く植えよ
春は日が段々と長くなり温度も上がっていくので、あわてて植えないほうが良い。反対に秋は日が段々短くなり温度も下がっていくので、種まき時期を失わないように注意しましょう。
☆毎年3月中旬から下旬の頃、耳タコのように聞かれます。「‥‥の苗、もう出たかえ? もう植えていいんかい? 他の店では一杯売りよるけど‥」 「まだちょっと早いですけど‥ あー、せめて桜の花が散ってからの方がいいですよー」と、指をくわえながらお答えしています。
10年以上前は、4月中旬以降でなければ苗の植え付けはしなかったのですが、ホームセンターで野菜苗を扱うようになって、年々売出しが早くなり、ついに今年は3月13日から販売していました。早く買わないとなくなってしまうかも‥という殺し文句が効くのでしょう。地球温暖化といっても一ヶ月も早いのはどんなもんでしょうか? しかし早々と植えられた畑を横目に、まだまだと頑張るのも勇気がいるもんですよね‥
●土作りは急ぐな! 土作りは最低3年必要 (佐藤自然農園)より
早く有機土壌にしたくて、大量の堆肥を撒いてみましたが、無駄でした。昔の農夫は何代にも亘って土を作ってきたことを思い知らされましたし、人間のおごりを痛感させられました。3年経たなければ「金の土」にはなりません。
●ゴンベが種まきゃ カラスがほじくる
鳥は遠くからあなたの行動を観察しています。トウモロコシやマメの種をまく時は鳥害に注意。鳥よけネットをするか、ポットまきにして苗を植えましょう。カラスはネットよりテグス(釣糸)の方が有効みたい。また黒皮スイカは、今のところカラスの害がないようですヨ!
●株元に落ち葉を寄せるべからず
腐葉土代わりにと、果樹などの株元に落ち葉を寄せている方がいますが、あれは「虫よ集まれ!」と言っている様なもの。樹木の甘い果樹やサクラ、もみじなどは、カミキリムシやキクイムシが樹幹に穴をあけ、食入して産卵します。特に5〜6月頃は株元を綺麗にして、卵が産み付けられていないか注意しましょう。
●農薬散布は‥
晴天高温時また風ある時には、農薬散布するべからず
24時間内に降雨の恐れある場合、農薬散布するべからず
農薬が自分にかからぬよう、長袖、メガネ、マスクはしたほうが良い
(☆農薬被害は、残留農薬より散布時の被害の方が大きい)
●水切れべからず / サトイモ、ショウガ、キュウリ、ニンジンの種まき
●水やり過ぎべからず / サツマイモ、トマト
●土かけ過ぎべからず / ニンジンの種まき
●マメとサツマイモは チッソを控えめに!
堆肥や鶏ふん、油かすなどを入れた畑にマメやサツマイモを植えると、葉ばかり繁って豆や芋がならないことがあります。マメとサツマイモにはチッソ肥料を控えめに‥ただし、マメにはリンサン肥料が、サツマイモにはカリ肥料が必要です。